これまで、当消防本部が出場した当該山域での行方不明者等の救助捜索活動と言えば、覚知と同時に救助隊として消防・警察・消防団が、その山の登山口に集結し、情報を共有しながら捜索ルートを選定して、人海戦術による救助捜索活動がほとんどである。 これは、救助隊への長時間の登山を余儀なくするとともに、要救助者との接触後も長時間の下山を強いられるものであり、救助隊員の体力だけを頼ったものである。 このような救助方法では、生死に関わるケガや疾病の事故発生時においては、長時間を費やし、要救助者にとって著しく身体への負担をかけるものであり、容体の悪化を招き、救える命も落としかねない。 それに、救助隊員とはいえ登山経験のない隊員が山へ入ることは、そこに登山ルートがあってもルート上の分岐を簡単に見逃し、方向を間違え、道に迷えば、救助隊自体が二重遭難又は事故を誘発する危険がある。 特に、五家荘の山中は樹海のような樹林帯が広がり、人の視覚や方向感覚を麻痺させる恐れが大きいことから、救助捜索活動の際には、山を熟知した案内者の同行を必要とするものであった。 しかしながら、事故発生時に必ずしも案内者が同行できるとは限らず、地元の消防団員でさえ、五家荘全域の山を熟知している者が極めて少ない現状であり、登山者の急増に伴う遭難事故等への綿密な対応策が必要に迫られていた。 そうような中、登山者が緊急時に現場位置の明確な情報を発信し、当消防本部や警察が、その緊急情報を受信できる対策を講じられる機会を得た。 それが、五家荘の山域におけるレスキューポイント標識(以下、RP標識と記載)の設置であり、防災消防ヘリによる短時間での救助方法の構築である。 そこには、「泉・五家荘登山道整備プロジェクト」と言う団体の存在と、貢献的な活動がある。
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