【命を守るプロジェクト】
(山岳救助事故に対応する取り組みについて)
     
           八代広域行政事務組合消防本部(熊本県)
          鏡消防署泉分署消防1係長 小 野 康 成
 6 レスキューポイント標識の設置活動
 これらの事情と経緯をふまえ、熊本県防災消防航空隊と連携した迅速な山岳救助活動の構築に向けて、登山対象となる山々を歩き回り、山中での防災消防ヘリとの連携が可能な救助拠点となる場所の調査を開始した。
その調査チームは、当消防本部署員と「同プロジェクト」のメンバーであり、時々、一般の登山者と当消防本部所属の防災消防ヘリ隊員も加わった。
五家荘の山々の登山口付近は、杉・檜などの植林が多く、中腹から自然林に変わり、山頂周辺は原生林のブナやミズナラの巨木が見られ、各登山ルートの大半が、樹木の隙間から上空を容易に見通せる場所は以外と少ない。
そこで、RP標識の設置場所に適した条件等を予め、次のように取り決めた。(1)上空が最低でも3~5m程度開け、防災消防ヘリから容易に視認でき、ヘリ  
の隊員が降下して、要救助者を吊り上げ救助可能な場所。
(但し、落石の恐れや崖が迫る谷間又はガレ場等を除く。)
(2)ヘリからの検索で要救助者を発見できなくとも、地上の救助隊員が要救助者と接触し、長時間の地上搬送を必要とせず、吊り上げ救助に移行できる場所。
(3)尾根や支尾根が複雑に入り組んだ地形上に登山ルートを有し、道迷いを著しく誘発する恐れのある分岐箇所。
(4)その他、調査チームが必要と判断した場所。
その結果、この事前調査で185箇所の設置予定場所を特定し、それら
の場所へRP標識の仮設置を本年2月から実施し、7月に設置を完了した。
この設置を仮設置としたのは、当消防本部署員の意向と提案を受け入れら
れた「同プロジェクト」が予算を支出し、恒久的な素材でRP標識を製作されることが決定し、その間の救助事故等に備え、措置を講じたものである。

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