この山岳救助に資するRP標識の設置に伴い、地域固有の団体と管轄の消防機関が連携を図る取り組みは、九州の山岳救助又は山岳地域における安全対策の視点から見れば数少ない試みであると同時に、熊本県内では唯一の取り組みであると言える。 そして、当該山域へのRP標識設置の反響は、登山者自身のホームページ等で度々紹介されており、実際、山中での設置活動中に出会った複数の登山者から感謝の言葉を掛けられ、関心の高さが伺われる。 しかし、「五家荘の山には、レスキューポイントがあるから安心」と本活動の目的を間違って解釈し、軽いケガで安易に救助を要請する登山者が出でくることも否定できない。 山岳事故の特徴は、「無理な登山」又は「無知な登山」など、登山者自身が山を軽視したことが原因で発生している場合が多いことから、登山者自身の姿勢やモラル・マナーの向上は、事故防止の基本であり、本活動が事故発生後の速やかな人命救助活動にとどまらず、事故防止を啓発する予防対策のひとつとして、登山者各位に波及・浸透することを期待するものである。 最後に、本活動を契機に、今後は山域が隣接する他の消防機関との山岳事故における対応策の強化を図ることが重要な課題と考える。
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